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社会の分断、意見の対立が起きた時に誰の意見を信じればいいだろうか?

タイトルの疑問について、コロナパニックを通じて考えてきた。自分は専門家を信じればいいと思っていたタイプであった。しかし、コロナパニックで 「初めての問題に専門家はいない」 「分野によって専門家のレベルが(以下自粛)」ということがわかった。コロナは自分で結構調べて、やや専門家に近くなってしまったが、問題が起きるたびに毎回そういうことをするのは大変なので、 楽して正しい意思決定 をする方法を考えていた。行動経済学・心理学の本を読みながら考え見えてきたのは、 以下3つのタイプの人の意見は聞くに値する ということである。 1) 自腹でお金・生活を賭けている人 前のエントリー でも触れたように、お金や生活を賭けている人は本気なので、バイアスから抜け出しやすい。 バイアスから抜け出す最高の方法は「それに賭ける?」と問うこと。西浦42万人やIHME6万人を出す人・反応している人に「それにイクラ賭ける?」と問いたい。米国大統領選の予想もメディア予想は当てにならず、賭けサイトが一番正確。 https://t.co/lt5YKYehjO pic.twitter.com/oLp1yZYleh — J Sato (@j_sato) December 2, 2020 2) prior beliefから意見を変更した人 一貫している人は最初から正しい可能性もあるが、バイアスに囚われている可能性も高い。意見を変更した人というのは、追加で得られた情報から判断を変更しており、prior beliefに囚われていない可能性が高い。 例えば、「コロナはインフルよりも数倍以上危ないと考えるか?」について、以下の意見の人の意見は聞く価値がある可能性が高いということである。 最初は数倍以上危ないと思っていたが、今はそう思っていない人 最初はそう思っていなかったが、今は数倍以上危ないと思っている人 そして、前者と後者で人数を比較すると、どちらが正しそうかも見えてくる。ちなみに自分は3月末まで立派なコロナ脳である。新ワクチンについても実際のデータが出てくる前から「接種する/しないべき!」と断言する人と「実際のデータをみながら判断したい」と言う人だと、前者の方がわかりやすくて人気があるが、意見を聞くべき対象は後者の人である。 3) 自分の意見と世間の意見を別に予想している人 2)の方法の欠点は時間がかか

IQが高い人ほどprior beliefのバイアスに囚われる:銃規制、コロナ論争、新ワクチン

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自分の中では医学問題としてのコロナはだいぶ前に終わっている。2020年夏頃までは医学論文を読み漁っていたが、もう滅多に読まない。 一方で、コロナという社会問題、意見の対立はなかなか収束しそうにない。恐怖に脳がハックされたことが原因で、恐怖症から目が覚めれば対立は収まっていくと思っていたが(徐々にそうなりつつあるとは感じているが)、恐怖症でなくなった人たちも案外スタンスを変えない。しかも、多くの普通の生活者よりもIQが高い人たちの方がスタンスを変えない傾向が強いように見受けられる。コロナ問題で最近興味あるのは、こういった傾向である。 『 事実はなぜ人の意見を変えられないのか 』 @nana7770214 さんから教えて頂いた 本 を読んでみた。 同じような認知心理学的観点からの啓蒙書が最近、欧米から複数発刊されていますね。 >賢い人ほど不都合なデータに対して「反論」を想起するのが容易なため自らの意見にこだわりやすい >脳科学的には事前の自分の意見にそぐわないデータを「シャットオフ」する機構がある https://t.co/V38wBdgS38 — NANA@omegazeus (@nana7770214) December 17, 2020 この本 には面白い捉え方・情報が満載なので、社会の対立・二極化に興味がある方にはおすすめだ。 本の中で紹介されていた↓の実験論文を読んでみたが、大変面白いので、以下簡単に紹介したい。 Motivated Numeracy and Enlightened Self-Government https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2319992 新スキンケア製品の効果の解釈の正解は、数的処理能力と比例 新スキンケア製品を使った人・使わなかった人の肌荒れが良くなったか・悪くなったかの人数の表を見せて、「新スキンケア製品を使うと、肌荒れは良くなりそうですか?悪くなりそうですか?」というシンプルな質問をする。 その結果はこちら。算数・数的処理能力と正解率が比例している。当然の結果。 新スキンケア製品の設問と同じ数字なのに、銃規制の効果の設問になると、prior beliefに合う設問への正解率が高く、合わない設問への正解率が低くなる この実験が面白いのは、この先だ。

民主的に衆愚政治を防ぐ方法: 賭け市場 & Surprisingly popular vote方式

 日本はコロナで緊急事態宣言を延長である。民意なので仕方ない。 昔の戦争のときもこうだったんだろう、というのは常套句だが、今回は切実にそう思う。誰も客観的な数字を見ないで、恐怖と熱狂で政権を追い込む。政権は無意味と知りつつ世論に迎合する。みんなのいう通りやれば、後で責任をとらなくてもいいから。 — 池田信夫 (@ikedanob) January 31, 2021 4月の緊急事態宣言、5月の延長はデータに基づき大反対だったけど、今の緊急事態宣言の無駄な延長にはもう腹も立たなくなってきた。コロナウイルスと一緒で、抵抗しても無駄と悟ってきた。コロナウイルスより恐怖ウイルスの方が1000倍ぐらい感染力強いは、長居するはで困るけど。 — J Sato (@j_sato) February 1, 2021 こういった集団パニック状態を抜け出す方法がないか を考えていた。 独裁政治 ベラルーシ等は独裁者がコロナに特別な対応は不要と言い切って、普通に生活しているらしい。コロナの死亡率が欧州ではかなり低く、コロナの数字が疑われているが、医療崩壊も起きておらず、 実際に大した被害は出ていないもよう。BCGの高接種国である。 民主主義者の価値観とは合わないし、独裁体制を採用するのは長期的にはよくない結果をもたらす可能性が高いため実利的にも受け入れがたい IQが高い人等の意見・投票優先 これは一見よさそうだが、案外そうでもないことがわかっている。ある認知クイズ3問を、数学や統計に強い人が最も集まっていると思われるMITで行ったら、不正解率が半分であった。同じ認知クイズを人口一般に行うと不正解率は8割であった*。半分は8割よりはマシだが、 多数決で決めていたら、高IQの人が投票していても間違う ということだ。 * Shane Frederick, "Cognitive Reflection and Decision Making" JOURNAL OF ECONOMIC PERSPECTIVES, VOL. 19, NO. 4 (2005) https://www.aeaweb.org/articles?id=10.1257/089533005775196732 (コロナパニックの春時点で少なくない理工系を含む大学教授が「自粛しろー!!!西浦先生が正しい!!」